2006年01月24日

さようなら親父 -18-

「腫瘍が肺に転移している」
3人ともしばし沈黙。

聞いている3人とも唇が乾いている。
病院である父の顔を見ても乾いた口をパクパクさせながら顔を引きつらせていた。母も苦渋に満ちた顔だった。

その直後に母が私と姉に話したことは、実は母は主治医からすでに聞かされていたのだという。
しかも、おまけ付きで。

「肺と肝臓にまで転移している」

と。
母は主治医から耳打ちされていたが、当の本人には言えないでいた。

母は私と姉にそっと教えてくれた。
「父ちゃん、もうだめなのかな?」
と母は泣きそうな小さな声で言った。
「大丈夫だよ。そうと決まったわけじゃないし、治せるよ。」
言葉には自信がないものの、私はこう答えるしかなかった。

肺のがんは早期に発見すれば、直る確率が高いのだという。
ところが、肝臓はなかなか治すことができず、歳をとるとなかなか抗がん治療も効き目がないのだという。
その辺が不安だった。

肝臓への転移については父には知らされていなかったので、父は気持ちを切り替え、抗がん治療を行うことを決心していた。
1クール約1ヶ月を4クール行い、すべて終了するのに4ヶ月かかる。
気が遠くなるような試練に耐えなければならない。

抗がん治療の入院生活は6月末から開始された。
私は2週間に一度、病院に見舞いに出かけた。二人目の出産が近いので、たびたび見舞いに出かけることはできなかった。
仕事や趣味で山が好きだった父のために山の雑誌をみやげに買って行ったりして、父を勇気付けた。
posted by センセイジンゴ at 22:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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